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業務案内(実績)
公共空間のデザインマネジメント
道路や公園などの公共施設は、整備される際に管理者である行政の意向が強く働き、標準的な形としてつくられます。「みんなのもの」「恒久的なもの」と思われていますが、実際には使う人や維持する人の関わり方によって環境は少しずつ変化していきます。街の人々をつなぐのは道路などの公共空間です。日常的に目にする風景、使う場所は街の性格に影響を与えます。したがって、本来、公共施設のデザインは街の物語をつくる場所として考える必要があります。
汐留シオサイトでは、公共施設を“Tidal Park”(タイダルパーク:汐の満ち引きを表現する公園都市)というコンセプトの下でデザインし、それを 31ha 全体で道路、ペデストリアンデッキ、公園、広場、地下歩道などで実現しました。コンセプトの決定から設計・施工を通して、各施設の有する課題を解決しながら、様々な条件変更に対応して具現化するように努めました。 また、隣接する民間敷地の公開空地とも調整し、所有の違いや施設の違いを超えて空間として一体性を保つようにデザインしました。
街並み景観のデザインマネジメント
歴史的に由緒がある街や一体的に開発された街は別として、多くの街にはまとまった特徴を見ることができません。景観は大事であると認識されていても、何を景観的な特徴とするかは街に暮らす人々の価値観に委ねられています。色や形、素材など目に見える建築的要素は、所有者の嗜好に左右されますし、店舗であれば、広告宣伝の素材も建築の外観に影響を与えます。
こうした目に見える景観要素についてまとまりをつくるためには、街ごとにルールが必要であり、ルールの適用については文言での可否チェックではなく、デザイン上の創意工夫の余地をもつ必要があります。
汐留シオサイト 5 区・イタリア街では、2008年から地元団体である NPO法人コムーネ汐留とともに東京のしゃれた街並みづくり推進条例の街並み景観重点地区としてデザイン・ガイドラインを運用して街並みの形成・保全活動に携わっています。建物の建設、改修だけでなく、植栽や屋外広告物についても協議の対象とし、関係者による話し合いのなかから個々のデザインと街並みとの調和を探る取り組みを行っています。また、イタリア街の特徴である公共空間との一体的な公開空地のデザイン誘導を図るため、地区計画の運用とも連携しています。
エリアマネジメントに関する企画・計画
エリママネジメントは、広義にはある特定の地区の人々により運営され、地区をより良くする自主的活動を指します。そのため、地区に施される公共サービスや地区で活動する既存団体の有無によって、新規に興す必要性は異なります。地区の活性化のために活動を興すことで、地区が社会的に認知され、経済活動が活発化するでしょう。
しかし、民間がなぜ税金以上に費用負担する必要があるのか、その負担はどういう尺度で評価できるのか。街で行う活動は何のために必要なのか。住民はその活動にどう関わっているのか。もし自主的に地区の運営が可能なら公共サービスには何を求めるのか。こうした問いへの答えが、その街のエリアマネジメントの性格を決めると言えます。
汐留シオサイトは、当初日本版 BIDのモデルと言われていましたが、それは民間が主導する街づくりの枠組みをもって、公共施設(道路)において地元組織と行政の共同管理を実現したからでした。この仕組みづくりに関わり、公共施設が有する課題、公共サービスと民間事業の棲み分けの難しさなどを経験したことを生かして、今後もエリアマネジメントを公益的活動として位置づけるお手伝いができればと考えています。
地域・地区の将来構想及び整備計画の作成
建物の建替えや道路の整備などを、街の変化のきっかけと捉えて、影響範囲を設定し、周辺環境はともにどうあったらより良い街になるかを考えることが、街づくりの計画になります。街づくりの計画をオープンにし、将来にわたって実行していくことの約束として、地区計画などの法的手続きを伴うことが望まれます。
土地の高度利用を伴う場合は、地域への影響も考慮した計画づくりが必要となります。拠点性を地域のなかでどう位置づけるかは都市構造に関わる問題であり、高度利用とセットで整備される公開空地については地域の公園緑地の状況も加味される必要があるでしょう。民間の開発事業であれば、官民の役割分担も視野に入れた計画になっていきます。
アミューズメント開発、大学キャンパスの再整備などで地区の計画を作成してきましたが、建築時の地区計画の運用の場面にも立ち会うなかで得た知見を生かし、「生きた地区計画」のあり方も模索していきたいと考えています。
案内誘導サインシステム(歩行者サイン)の計画・設計
街のサインは、街のわかりやすさを確保し、アイデンティティにつながる情報案内ツールとして、街の特徴に合わせてカスタマイズされる必要があります。サインの検討は、大きくは設置場所のデザイン、サインボードのデザイン、情報収集と表現のデザインに分けられます。サインのデザインだけに特化すると、掲示板として目立たせる方向だけに傾斜しがちですが、場所との調和を考慮しつつ、人の動きにより視認される情報の種類を分けて、見やすい文字や形のバランスを考える必要があります。
汐留シオサイトでは、道路の案内標示として整備される公共サインを街のサインとしてカスタマイズするために、一から行政と協議して形づくりました。アイキャッチとしてカラーバーや、ユーザーが指で辿って実感できる地図の仕様、歩行空間からの視認性を考慮したサインボードの配置などを提案しています。
 
             
              